アメリカ歴代大統領研究ポータル
フランクリン・ルーズベルト大統領
「ルーズベルト」姓のカタカナ表記
 しばしば、問題となるのはRooseveltをどのように発音表記するかである。Googleの検索数は、ローズベルト4,700万件、ルーズベルト662万件、ローズヴェルト200万件、ルーズヴェルト149万件となっている。もともと「ルーズベルト」という表記が多かったようだが、最近の教科書は「ローズベルト」の表記が増えている。はたしてどの表記が正しいのか。
 実はアメリカ人もRooseveltをどのように発音すればよいか困っていた。移民が多いアメリカならではの悩みである。セオドア・ローズヴェルトは問い合わせに対して、1898年10月10日に次のような返信を書いている。ちなみにフランクリン・ルーズベルトとセオドア・ルーズベルトの祖先は同じ人物である。したがって、同一の家系である。

セオドア・ルーズベルトの手紙
セオドア・ルーズベルトの手紙
「私の名前をどのように発音するかに関してですが、『Rosavelt』と綴るかのように発音します。3音節です。第1音節は『Rose』のように発音します」
 さらにニュー・ヨーク・サン紙(1903年5月25日)に以下のような記事が掲載された。

「大統領、自分の名前が誤って発音されていることに遺憾」

「日常の業務の中で私は、ローズベルトという姓が非常に様々な方法で発音されていることに気付いた。大統領は自分の名前をロー・ズ・ヴェルトと3音節で発音している。我々はどのようにそれを発音しているのか。最初の母音をroomのように発音してルーズ・ヴェルトとすべきではないのか。そもそも2音節なのではないか。人々がそう推論してしまえば、それが定着してしまうだろう。おそらく大統領は研究者のようにあまり深くは考えていないだろう。もし都合が良ければ、大統領自身がそうした流行の発音方法を使うようになるかもしれない。私は大統領の選択を非難するつもりはないし、大統領が発音を守る権利を持たないと言うつもりもない。私は単に疑問を提示しただけだ。強調しておきたいことは、私の考えでは、明確な決まりがないことである。ただ発音の原理を定める人々の実践に背くようなことをしようとする者[大統領]を正当化することはできないのではないか」

 この記事に対してローズベルトの甥であるロバート・ローズベルトが答えている。

「英語では大変なことに我々は、長い『o』と短い『o』を区別しなければならない。しかし、オランダ語ではそうではない。二重の『o』は単純に長い『o』である。『Roos』という言葉は、薔薇を意味し、どのような場合でも同じように発音する。したがって、大統領の名前の第1音節は、単純に『Rose』である。[中略]。したがって、指摘とはまったく異なっているが、名前は『Rose-uh-velt』である」

 このような見解を総合して考えると、「ローズヴェルト」とカタカナ表記するのが原音に忠実だと考えられるが、「ルーズベルト」という表記に慣れている人が一番多いと思われるのでこのサイトではそのように表記している。